「投資のリミッターを外せ」―370兆円の官民投資が導く、日本経済「失われた30年」の終焉

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​日本政府が2040年度までに戦略分野へ370兆円超の投資を行う工程表をまとめました。一見すると壮大な目標に見えますが、高橋洋一氏によれば、**「370兆円という数字は単なる目安に過ぎず、真の狙いは『投資の基準(ルール)』そのものを根本から変えること」**にあります。

​なぜ、これまで日本は投資ができず、経済成長が止まっていたのか。そして、高市政権が打ち出した「リミッターを外す」という戦略の正体とは何でしょうか。

​1. なぜ日本のGDPは伸びなかったのか?

​1990年以降、G7諸国の名目GDPが2.7〜4.5倍に成長する中、日本は約1.3倍に留まりました。この差を生んだ最大の要因は、成長を抑制し続けた「デフレ」と、政府の「過小投資」です。

​本来、適切な公共投資は経済の成長を押し上げますが、日本はそのためのハードル(評価基準)を不当に高く設定し、自らブレーキをかけていました。それが**「社会的割引率」**という、一般の方には耳慣れない専門用語が関わるルールです。

​2. 「社会的割引率」という名の「投資のブレーキ」

​社会的割引率とは、公共事業を行う際に「将来得られる利益を現在の価値に換算する」ための基準です。この値が高ければ高いほど、将来の利益が「小さく」見積もられてしまい、結果として「投資する価値なし」と判断されてプロジェクトが中止されます。

​現在の設定: 21年前の2004年に決められたままの「4%」。

​現実との乖離: 現在の長期国債の実質金利はマイナス水準。金利がこれだけ下がっているのに、基準だけが高いまま放置されてきました。

​この高い基準のせいで、本来なら日本経済を成長させたはずの多くの公共事業が、財務省や国交省の内規によって「採算が合わない」として門前払いされてきたのです。これが、日本が30年間投資不足に陥った構造的な原因です。

​3. 「リミッターを外せ」―高市首相の戦略的転換

​高市首相が掲げる「リミッターを外せ」という言葉には、この不当に高い基準を適正化し、投資のハードルを下げるという明確な意図があります。

​投資の基準を適正化: 長期国債の実質金利に近い水準まで社会的割引率を下げる。

​無制限の投資: 採択基準を満たす限り、投資額に上限は設けない。

​つまり、「370兆円」という数字は、あくまで分かりやすくするために仮置きした数字に過ぎません。基準が正しくなれば、採算が取れるプロジェクトは飛躍的に増え、結果として投資額はそれを超えていく可能性があります。

​結び:日本経済は「正常化」に向かう

​これまで日本は、理論上は「成長できるはずの経済」を、時代遅れの基準で縛り付け、自ら停滞させてきました。今、高市政権が進めようとしているのは、やみくもなバラマキではありません。過去20年間放置されてきた「投資基準の適正化」という、経済成長のための「当たり前のルール」を取り戻す作業です。

​「社会的割引率」という地味な数字の適正化こそが、日本経済のエンジンを再び回転させる最大のトリガーになります。停滞を「常識」として受け入れる時代は終わりです。ルールを正し、成長のブレーキを外す。高市政権が描くこの戦略は、失われた30年を取り戻すための、極めて現実的かつ強力な一手となるでしょう。

​【今日のポイント】

​投資のブレーキ: 「社会的割引率」が不当に高く設定されていたことが、日本経済の成長を阻害していた。

​ルールの刷新: 社会的割引率を現在の経済状況に合わせて適正化すれば、莫大な投資余力が生まれる。

​高市流「攻め」の経済: 「リミッターを外す」とは、採算が合うプロジェクトを無制限に実施できる環境を整えることである。

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