退職代行は悪なのか?
──必要とする人がいる現実と、広がる誤解の正体
こんにちは、ととです。
今日はよく議論になるテーマ、
「退職代行は悪なのか?」
について、深く掘り下げていきます。
「退職代行なんて使う必要ない」
「自分で言えないのは甘えだ」
「会社に迷惑をかける」
そんな声は、今でもSNSや職場の会話でよく聞きます。
でもそれは、本当に正しいのでしょうか?
実際に退職相談に乗ってきた立場からすると、
“退職代行が悪だ” と言い切るのはあまりに短絡的 だと感じています。
退職代行には、
使う人側の事情があり、
会社側の事情もあり、
社会全体の背景もあり、
そこには単なる善悪では語れない現実が存在します。
この記事では、
なぜ退職代行にネガティブなイメージがつくのか、
なぜ必要とされるのか、
そしてどう向き合うべきなのかを、
経験者・相談者の声も踏まえて丁寧に解説します。
■ 退職代行が「悪扱い」される3つの理由
① 就業規則より民法が優先されることへの反発
まず前提として、
民法上は「退職の2週間前までに申し出れば退職できる」 とされています。
しかし多くの会社の就業規則には、
「退職は1ヶ月前」「3ヶ月前」などと書かれています。
退職代行を使うと、
会社側は“実質2週間しか準備期間がない” という現実に直面します。
引き継ぎもできない、
新人も手配できない、
上司の評価も下がる──
つまり会社側からすると、
「困る」のです。
そして困るものにはイメージが悪くつく。
これが第一の構造です。
② 「けじめをつけない」という文化的な価値観
日本の職場文化には、
「上司に直接言うことこそ礼儀」
という価値観が根強くあります。
社会人の“けじめ”とは、
上司に頭を下げて、
理由を伝え、
最後まで責任を果たすこと。
その価値観自体を否定するつもりはありませんが、
これは “強者の論理” になりがちです。
・上司がまともで
・暴言もパワハラもなく
・辞めると伝えても嫌がらせされない
こういう環境で働いたことがある人ほど、
「退職代行なんて必要ない」と言います。
でも、誰もがそんな環境にいるわけじゃない。
むしろ、
退職代行を使う人の多くは、
“直接言うことが不可能な環境にいる” のが現実です。
日本の“けじめ文化”は美しい側面もあるけれど、
それがすべての人を救うわけではありません。
③ 「ハードルが下がること」への嫌悪感
退職代行の登場で、
辞めるハードルは確かに下がりました。
・入社して数日で退職
・連休明けに退職
・試用期間中に退職
こうしたケースは、
昔なら圧倒的に少なかったものです。
「辞めやすくなる社会」を好まない人は一定数います。
“耐えて働くことが美徳” と感じる人たちです。
新しいサービスには必ずアンチがつく。
退職代行もその一つです。
■ では、退職代行は「悪」なのか?
結論からいうと、
退職代行は“悪”ではなく、あくまで選択肢の一つです。
そもそも、
退職は民法で保証された「権利」。
辞める自由は誰にでもあります。
退職代行は、その権利を行使するための手段に過ぎません。
問題は手段ではなく、
追い詰められてしまう職場環境のほう です。
■ 退職代行が必要とされる「本当の理由」
「本当は自分で言いたいけど、言えない」
という人が、世の中には大勢います。
・パワハラで毎日怯えている
・上司の機嫌で未来が変わる
・辞めると言ったら潰される
・辞める理由を聞かれるのが怖い
・精神的に限界で会話ができない
これらは“甘え”ではありません。
むしろ、
戦ってボロボロになった人たちの最後の手段 です。
退職代行は
「ラクをしたい人」ではなく
「限界まで頑張ってしまった人」
が使うケースのほうが圧倒的に多い。
責められるべきは個人ではなく、
退職代行が必要になるような職場環境です。
■ 「退職代行=悪」という思考が危険な理由
この発想の裏には、
“会社の都合” が隠れています。
・引き継ぎできない
・人材確保が大変
・職場の穴が困る
これらはすべて会社側の問題。
社員個人の責任ではありません。
人手不足の穴を
“社員の自己犠牲で埋めようとする社会”
は健全とは言えません。
本来、会社がすべきは
「辞めたい」と言った人を責めることではなく、
辞めたい理由を生まない環境づくり のはずです。
退職代行を責めるのは、
火災報知器を壊すようなものです。
本当に見直すべきは“火の出ている現場”です。
■ 退職代行の「本当のメリット」
・上司に会わずに辞められる
・精神的負担が一気に減る
・対話が必要ない
・パワハラから即逃げられる
・体調が悪くても辞められる
退職の一番のストレスは、
「上司に言う瞬間」 です。
ここを代わりにやってくれる。
その一点だけでも、救われる人がどれだけいるか。
退職後の回復スピードも、
メンタルの安全も、
自分の人生の再スタートも、
大きく変わってきます。
■ 社会が変われば、退職代行は消える
退職代行が必要なくなる未来は、
人が辞めたいと言ったときに、
・怒鳴らない
・詰めない
・理由を追及しない
・引き止めない
・脅さない
そんな職場が当たり前になったときです。
だから退職代行は
“甘えの象徴”ではなく、
社会の不調を示す指標 です。
必要とされているうちは、
なくなりません。
■ まとめ:退職代行は悪ではない。必要とする人がいるだけ。
退職代行には確かに賛否があります。
しかし、
悪いのは「退職代行」ではなく、
・辞めると言わせない
・辞めづらい雰囲気
・精神的に追い詰める上司
・個人の努力や我慢を前提とした文化
これらのほうです。
退職代行は「逃げ」ではありません。
むしろ、
最後の勇気 を支えるためのサービスです。
辞めたい気持ちに後ろめたさは必要ない。
あなたの人生の舵を取れるのは、
あなただけです。
退職代行を使ったから悪い。
そんな時代錯誤の価値観は手放して、
「自分を守る選択」を堂々と取れる社会へ向かっていけたらと思います。

