ブラック企業のクリスマスは、だいたいこんな感じだ。
そもそもクリスマスは祝日ではない。
カレンダー上は平日で、当然のように出勤。
「世間は浮かれてるね」なんて言葉も出てこない。
なぜなら、こちらはそれどころじゃないから。
年末から逆算すれば、クリスマス前後は一番忙しい。
納期、締切、在庫、数字。
「今年中に終わらせろ」が合言葉になり、
空気はどんどん張りつめていく。
それでも会社としては
「一応クリスマスっぽいことはやっとくか」
という謎の気遣いが発動する。
付き合いでクリスマスケーキを買わされる。
自腹か、半強制の集金か、名ばかりの福利厚生か。
正直、甘いものを楽しむ余裕なんてない。
残業続きで胃が重く、
家に持ち帰っても食べる気にならず、
気づけば冷蔵庫の奥で賞味期限が迫っている。
工場と事務所の往復だけの一日。
蛍光灯の下で書類を回し、
騒音と油の匂いの中で時間が削られていく。
外の世界ではイルミネーションが光っているらしい。
カップルや家族連れで賑わっているらしい。
でも、そんな情報はスマホの通知で知るだけだ。
「もうクリスマスか」
そう思ったときには、すでに通り過ぎている。
ブラック企業のクリスマスは、
イベントじゃない。
季節感でもない。
ただの「年末への通過点」だ。
それでも、どこかで虚しさが残る。
本当は、
少し早く帰って、
コンビニのチキンでも食べて、
「今年もお疲れ」と自分に言いたかっただけなのに。
忙しさの中で忘れていくのは、
クリスマスだけじゃない。
余裕や感情、
そして「自分の生活」そのものだ。
もし今、
今年のクリスマスが思い出せないくらい働いているなら、
それはあなたが鈍いからじゃない。
環境が、季節を感じる余白を奪っているだけだ。
祝日じゃないから働くのは仕方ない。
でも、人生まで平日にされる必要はない。
来年のクリスマスを
「思い出せる一日」にするために、
今の働き方を疑ってもいい。
忘れてしまうクリスマスが当たり前になったとき、
それは、見直していいサインかもしれない。

